「るるる、ドラ焼きは主食に入らないーならば上書きしちゃえば僕の思い通りー、るららー。」
鼻歌混じりでただ今私はローズタウン?いや違うななんだっけロ、ローン?
いや、もうわからん忘れた。兎角まあ何とかっていう街をぶらぶら探索中である。
一応しがない旅人である私はここで物資補給と休息を兼ねて訪れていた。
今はあらかた調達し終え、そこらのお店を覗いたり何なりとしている所だ。
ああ、後かの有名な海賊が処刑されたっていう処刑台も見てみたいなあ。せっかくここまでやってきたんだし。
そうして辺りを見回しながら歩いていたのが悪かったのか、私の前から歩いてきた男の人とぶつかってしまった。
慌てて謝ろうと立ち止まって改めて相手を見上げたらなんとまあ悪人を形に表したかのような人だった。つまり柄が悪い。うん。
「あ、すみません。よそ見してて。」
「ああ?おいガキ。お前のせいでさっき買った剣落としちまっただろうが!あーあ傷ついてんぞおい、どうしてくれんだよあん?」
「おいおい高かったのになあそれ!」
「はあ、すみませんでした。」
何か知らんが私がぶつかった拍子に剣を落としたらしく、そのせいで傷物になったらしい。
つかこんな人いっぱいいるとこで抜き身で持つなっつうの。騒ぎを聞いているのかいつの間にか人が集まってきた。
「謝ったらいいってもんじゃねえんだよお嬢ちゃん。親連れて来な。弁償してもらうからよ。」
「あー、親いないです。今旅の途中でして。」
「あ?じゃあ何でもいいからよ。金だ!金よこせ!」
「……いくらですか?」
「そうだなぁ、この具合から言って20万ベリーくらいだろうな。」
「なっ、阿呆言うなや!そんなんぼったくりやないかい!」
「んだとコラ!てめえ誰に向かって口きいてんだ!俺は被害者だぞ!」
あまりにも馬鹿げた金額を提示されて思わず素が出てしまった。
お金はそこそこあるがこんなチンケな輩にほいほい差し出す程じゃない。
面倒だからお金で穏便に解決しようと思ったが仕方ない。
相手の輩は怒り心頭と言った様子で、私の周りをずらっと囲んだ。
「傷ってそんなんちょっとだけやん。阿呆くさ。あんたらに払うお金は1ベリーも無いわ。」
「なんだとこのガキ!」
「人が下手に出たら調子にのりやがって!おい、やっちまえ。」
へー、その態度で下手に出てたんすかふーん。
貴方の下手ってそんなでかい態度なんですかそうですか。
ぼんやりと頭の片隅で考えてたら輩達がぐわっと腕を振り上げた。
やるしかないのかめんどいな。
とりあえず避けようと後ろに引こうとしたら、誰かに腕を引っ張られた。
と思ったら目の前の輩A(仮)がその誰かさんに蹴っ飛ばされ勢いよくぶっ飛んだ。
うわ、すげえ。
おそるおそる吹っ飛ばした足から体、顔をじいと見上げていく。
誰かさんは真っ黒なスーツに金髪、それと煙草をくわえた凛々しい男の人だった。
「なんだてめえ!」
「おいおい、子供一人に野郎が大勢で何やってんだよ。」
「ちっ、うるせえ!そいつもやっちまえ!」
わあ、と襲いくる輩を尻目に私を背中に隠すようにして、金髪さんは下がってな、と一言私につけると
その長い足を使ってあっという間に全員ぶっ飛ばしてしまった。まさに瞬殺。すご!かっけえ!
輩共は覚えてろよ!なんてお決まりの台詞を吐き捨ててさっさとずらかってしまった。
金髪さんはふうと煙草の煙を吐き出すとくるりと私の方へ向き直った。
「大丈夫かい、お嬢ちゃん。怪我とかねえか?」
「うん。大丈夫。いやはや親切にどうもありがとうございました。」
「いいってことよ。あいつらが一方的に悪かっただけさ。」
そう言ってぐしゃぐしゃと私の頭を撫で回した。
改めて金髪さんのお顔を拝見したがすごくかっこよかった。
・・・・・・眉毛が何故かくるんとしてるが。
軽く乱れた髪を整えてびしっと頭を下げる。
「このご恩必ずお返ししまさあ!金髪の兄貴!」
「んな大袈裟な。つか金髪の兄貴って何だよ。」
「え、気に入りませんでしたか?じゃあくるん眉毛の兄貴で!」
「おい余計失礼になってんぞ!!」
金髪さんと軽くあだ名論争を繰り広げていたら、向こうからおーい!と何やら叫びながらこちらに向かって来る人が見えた。
「サンジ!子供は無事か?」
「おう、この通り生意気なくらい元気だ。」
「おいおい何だよそんな言い方「うわっ!鼻長っ!」……前言撤回だ。超生意気だ。お前いきなり失礼だろうが!」
とてつもなく大きな魚を担いでやって来た人は鼻がものすごく長かったのでつい口をついてしまった。いかんいかん。
「いやあすみません。ついお口がつるりと滑ってもうて。気分悪うさせてごめんよ鼻の兄貴。」
「さっきと変わってねえぞコラァ!」
おや、また口がうっかり。
*****
それから処刑台へと向かう道が同じだということで一緒に行くことになった。
金髪さんがサンジ、鼻の人がウソップというらしい。
あと海賊やってるって。大きな魚はなんとサンジが料理するらしい。
まあ海賊だからそんだけ人数いるから沢山作らなきゃいけないんだろう。いやはやつくづくすげえなサンジの兄貴。
「そういやあは旅してるって言ってたけど連れはいねえのか?」
「おう、絶賛一人旅中やで。」
「お前一人ってまだ子供だろ?何歳だよ?」
「え?12歳やけど。」
「12!?そんなちっこいのに旅だなんて……ははーん、さては家出だな?」
「いや、ちゃうし。正真正銘の一人旅やって!」
「まあまあそう言うな。俺もなあガキの頃はそうやって一人冒険に出るのが夢だったりしてたからなあ……。」
「違うっつてんだろ話聞けや。何この鼻ップ。なあサンジ殴ってええ?殴ってええよな?」
「おー。好きなだけ殴れ殴れ。」
サンジの許可も得て未だにべらべらと自分談議をするウソップの鳩尾に一発いれてやった。
ぶごっ、と変な鳴き声が聞こえたが担いだ魚は落とさなかった。えらいえらい。
「て…め、何すんだ!両手塞がってる奴殴るとか卑怯だぞ!」
「ウソップが悪いんやで。あんまりしつこいもんやからさあ。」
「そうだぜウソップ。しつこい男は嫌われっぞ。」
「何、なんで俺アウェーなの。」
なんか打ちひしがれたウソップは放ってずんずん歩いていくと処刑台がある広場へ到着した。
するとウソップとサンジが前から来るオレンジ色の髪の女の人と緑色の髪の男の人を見て、「あ。」と声を上げた。
何だ仲間か?何やら集まってわあわあ喋り始めたので私は処刑台を見学することにした。
随分でかいな。すげえなとかちんけな感想を抱いていたら処刑台に誰か人がいる。
よく見たら麦わら帽子を被った人が拘束されて、派手なピエロメイクの人が剣を持って今まさにこれから処刑しますといった感じだ。
……なんで?
「おい、あれルフィじゃねえか!?」
そんな声が聞こえて振り返ったら、サンジ達カラフル頭の集団がひどく慌てていた。
それから何か話したかと思うと、ウソップとオレンジの女の人がどこか走って行った。
残った緑色の男の人とサンジに近づいた。
「ねえサンジ、あの処刑台の人知り合い?」
「ん?ああ、俺達の船長だよ。なんであんなことなってんだあのクソゴム!」
「成る程船長かあ。てか何で処刑されかかってんねん。」
「んなの俺達が聞きてえよ。つうかお前誰だよ。」
緑頭の人が不審な目つきで見てきた。(まあ恐い顔)
答えようと口を開いたら何か広場になんたら(聞き取れなかった)海賊だー!という叫びと共に海賊集団がわあっと押し寄せてきた。
その様子にちっと緑頭の人が舌打ちをする。
「ったく、どうやったらあんなトラブル持ち込めんだよ!」
「とりあえず助けに行くぞ。は危ないからさっさと逃げろ。」
そう言って駆け出そうとするサンジの服をぎゅっと掴む。
慌ててブレーキ踏んだサンジはこちらに振り向くとひどく切羽詰まった顔をしていた。
「おい、何だよ!」
「あの麦わら、助けたらええねんな?」
「は?そうだがお前何言って……」
確認を取って最後までサンジの台詞を聞かずに走り出す。
後ろからサンジの早え!とかいう声が聞こえ、海賊と交戦中の緑頭の人がぎょっとした顔をしていた。
それに返すようにニヤリと笑って見せて右腕を剣に変形させる。
適当に邪魔な海賊共を片してたまたま目の前にいた海賊の頭を踏み台にして勢いよく飛び上がる。
処刑台のてっぺんに掴まり顔を上げるとピエロ顔が剣を振り上げていて、麦わらはにかっと眩しいくらいの笑顔を浮かべていた。
(何でそんな笑顔?)
「わりぃ、おれ死んだ。」
笑顔のままそう爽やか?な発言に呆気に取られていた意識が急激に戻ってきた。
素早く登ると右腕の剣でピエロ顔の太刀を受け止めた。
「な、何だ貴様!!」
「すまんな邪魔して。悪いけどその人返してもらうで。」
「お?お?」
酷い顔で驚く二人に吹き出しそうになりながら、ガキィ、と剣を薙ぎ払った。
体制を崩したその隙にもう一発ピエロに叩きこもうとしたその瞬間。
ドォン!
物凄い音共に雷がピエロと私の合間に直撃した。(マジでか)
がらりと処刑台が崩れ落ちる。咄嗟にくるりと振り返って麦わらの拘束具を剣で破壊した。
「おお!動ける!サンキューな!」
「いいっていいってー。つか今落下してるこの状況を何とかして頂きたい。」
「おし!まかせろ!」
麦わらが私のほうへ腕を伸ばし傍らに抱えると、そのままずんと下へ着地した。よく無事だなおい。
そのあと話をする間もなくやんややんやと次々海賊共が襲いかかってきて、ああそういやこの人らも海賊だったとかぼんやり考えていた。
今はなんか海軍までが追っかけてきて盛大な鬼ごっことなってしまった。
そしてその間私はずっと麦わらの腕に抱えられたままである。何故だ。
「サンジー。」
「お、。さっきはそこのアホ船長を助けてくれてありがとな。」
「おう。いいってことよ。助けてくれた恩返しなんやからな。
つーかさあ、思ってんけど何で私ずっと麦わらに抱えられてんねん!」
「うお!そうだよ!何か自然すぎて気づかなかった。おいコラルフィ!何で連れて来てんだよ!」
「そりゃあおれがこいつを仲間にしたいからだ!」
「「「はあ!?」」」
見事にその場の三人の声がきれいにハモった。てか仲間って。え?何で?
「どうして私が麦わらの仲間になんの?」
「麦わらじゃねえ!ルフィだ!」
「あ、そうじゃあルフィ。って質問に答えろや!」
「だって腕が剣に変わったりしておもしれーじゃんか。それに……」
全力疾走で走りながら恐らく怪訝な顔をしているであろう私を見てルフィはにししっと笑った。
「お前はおれを助けてくれたからな!」
本当に心からそれだけの理由で私を仲間にしたい、それがルフィの眩しいくらいの笑顔でよく分かった。
「おれが決めたんだ。なんか文句あるか!」
「おめえは独裁者かよ!」
「諦めたほうがいいぞ。こいつ言い出したらきかないからな。」
「……ええよ。どうせ一人旅やったしな。」
呆れた顔をしていた二人だったが、私の返事を聞くと苦笑した。
それから海軍の刀使う女の人や煙たいめっちゃ葉巻くわえた人に襲われたが何とか切り抜けて上手く船に乗り込み出航することができた。
船に乗るとあのオレンジ色の人とウソップがいて、ルフィの小脇に抱えられた私を見ると血相を変えた。
「おま、!何でここに!?」
「ちょっとルフィ!あんた何小さい子誘拐してきてんのよ!!」
「失礼なこと言うな!はおれ達の新しい仲間だ!」
「「何ー!?」」
二人して声を合わせて叫ぶと、ウソップが私の方へ近づいてきた。
「おいおい本気か?これは家出とは訳が違うんだぜ。海賊だぞ。」
「そんなん分かってるよ。つか家出じゃねえって何回言わしゃ気が済むんじゃバカタレ。」
「それだけじゃないわよ。いつ敵が襲ってくるかわからないし危険だわ。」
「ああ、そのことなら心配ねぇぞ。な、。」
そう言ってにかにか笑って私の方へ顔を向ける。
ひとつ頷いてみせてルフィに降ろしてもらって、さっきと同じように右腕を刃物へ変形させた。
「な、な……腕が刃物に!?」
「まさかあなた悪魔の実の能力者なの?」
「うーん。一言で言うと違う。簡単に言ったら身体を刃物に変形させたりとか
身体のどこからでも刃物を生やすことができるんやけど。私のこれはちょっとばかし特殊なんや。まああんまその辺は気にせんといて。」
「気にすんなって言われてもなあ……。」
「何でもいいじゃねえかそんなこと。ん、さっき刃物生やせるって言ってたけどどんな風にだ?」
「え?まあこんな感じで。」
「「「ギャー!!」」」
手の平から刃物をズオッと生やせば何故か悲鳴を上げられた。
更にお腹から生やしたら更に悲鳴を上げられた。
なんだようと不満な声を上げたらそりゃびっくりするわ!と至極まともな答えが返ってきた。うん。それもそうだ。
「お前やっぱすげえな!」
「そりゃどうも。」
「た、確かにすごいんだけどまだは子供でしょ?ちゃんと戦えるの?」
「うん。大丈夫。これまで旅の資金はそこいらの海賊や輩を適当に襲撃して奪ってたから。」
「つくづくお前何もんだよ。」
「まあ細かいことは気にすんな!」
緑頭の人が呆れたようにため息をついた。
まだ訝しい顔をしているオレンジの人へと近づく。
「ところでこの船で会計的な役割をしてるんはどなた?」
「ん、私よ。」
「ほうか。これ私が今まで悪そーな海賊共から奪ってきたお金。全額貴女に託すわ。」
「まあなんてよくできたいい子なの!よし!今日からあなたも仲間よ!」
「おいおいおい。」
「なんて現金なやつなんだ。」
「そんなナミさんも素敵だー!」
お金を渡したらころりと態度が変わって(目がベリーになっとる)、晴れて(半ば船長の独断で)私も海賊の仲間入りすることになった。
まあ悪い人じゃなさそうだし一人であれだったし大丈夫だろう。
「よーし!今日は新しい仲間を祝して宴会だー!」
ルフィの眩しい笑顔につられて私も笑ってしまう。
―うん。悪くないかも。
*****
「…お、い!」
「んー?」
「起きろぉ!!!」
「うるせぇぇ!!……ってあれルフィ?」
馬鹿でかい声に飛び起きたら、目の前にルフィがいた。あれ、私寝てたのか。
「何や夢か。で、何の用?」
「特に用はない!」
「用ないのに無意味に起こすなや!」
「じゃあ釣りしよう!釣り!」
「今決めたんかよ。まあええけど。」
ぐいぐいと私を引っ張られながら空を見上げた。
波は穏やか。順風満帆。今日も大変良いお天気である。
出会いはそんなん。
「なあ、さっき何の夢見てたんだ?」
「ん?ルフィ達と出会った時の夢や。」
「そうかー。懐かしいなあ。」
「ほんまにねー。あ、ルフィ竿引いてる。」
「うお!まじか!」
やってしまった海賊シリーズ物。
出会ったの場所はローグタウンです。
基本こちらも書きたいものをgdgdやっていく予定です。
10.7.17