「いっつー!ちょ、チョッパー!もうちょっと優しく!ソフトにやってぇな!」
「これでも優しくやってるぞ!大体傷口に消毒液塗ってるんだから染みて当然だ。」
ぽんぽんと消毒液を浸した綿を私の腕の傷口に当てる。足も腕も擦り傷だらけだ。
何故こんなに怪我だらけかと言うと、展望台で見張りをしていたところ、
なんでかルフィがゴムゴムのなんたらでこっちに突っ込んできて私は見事展望台から突き落とされた。
軽くメリーの床板にめり込んだ私を見てナミが悲鳴を上げ、サンジがルフィを怒鳴りつけていた。
そして治療の為に慌ててチョッパーが駆り出されたのだ。
「全くこれが普通のお子ちゃまなら全身骨折してるで。
私みたいに素敵に丈夫なお子様やったからええようなものを。」
「いや、何では平気なんだよ!擦り傷だけって、丈夫にも程があるぞ!」
「何を今更、私はちょいと特別仕様やの。
つーか、この船のクルーって皆ありえへんくらい頑丈ちゃう?」
「……まあ確かにそうだな。」
納得したようにチョッパーが頷く。
そういうチョッパーもなかなかに頑丈やけどね。
チョッパーはこの船の船医さん。
トナカイだけどヒトヒトの実を食べたので、喋れるし変形もできる。
あと青っ鼻。本人は気にしてるが私は結構可愛いと思う。ちんまりしてて。
小さい手で懸命に手当てする姿は愛らしい。
じっとその様子を見てたらなんだ?とチョッパーが顔を上げる。
「いやあ、チョッパーは相変わらずかわいらしいなーと思って。」
「なっ!ば、馬鹿!そんなこと言われても全然嬉しくねえぞコノヤロー!」
「言ってることと表情が合ってへんで。」
でれでれと破顔したチョッパーに私も同じく笑みがこぼれる。
なんてわかりやすくてかわいいんだ!
というかさっきからかわいいばっかり言ってる気がする。
くるくると器用に包帯を巻き付けて留めてくれた。
「よし、これで大丈夫だ。」
「おお、流石チョッパー。手際ええな。ありがとう!」
「そ、そんな大したことしてないだろ!それよかは一応女の子なんだからな、あんま無茶すんじゃねーぞ!」
「それはルフィに言ってくれんと。あいつ加害者やしな。あと一応ってなんや一応!」
「だって強いじゃないか。」
「まあそれなりには強いけどー。でも私にだって乙女心っちゅうもんがなあ。」
「お、。それなんだ?」
「って話聞かんかいコルァ!」
華麗に乙女の部分をスルーし、チョッパーは私のポケットが膨らんでいるのに気づいて、何が入っているのか気になるみたいだ。
「ん?これはなあ、この前ウソップに作ってもうたアヒル二等兵が入っとるんや!」
「アヒル二等兵?なんだそれ?」
「アヒル二等兵はなあ、まだ未熟ながらも水を掻き分け、敵前へ突っ込む勇敢なアヒルさん(おもちゃ)なんやで!」
「へえー!そうなのか!おれにも見せてくれよ!」
「しゃあないなあ、チョッパーにもその勇姿を見せたるわ!」
ごそごそとポケットをまさぐり目当てのアヒル二等兵をぎゅっと掴み引き出した。
「じゃーん!これがアヒル二等へ…い…?」
「ん?どうした?」
チョッパーの目の前に差し出したアヒル二等兵の首がぽっきりと完全に折れていた。
「ぎぃやあぁ!アヒル二等兵があぁあ!!!」
「うわあ!首が、首が折れてるぞ!」
「あ…あれや、さっきルフィにぶっ飛ばされた時に壊れたんやわ……。」
「そうなのか……。」
「壊れたもんはしゃあない、とりあえずウソップのとこ行ってみよう。」
「お、おう!」
医務室を出て、部屋に入ると『ウソップ工場』と書かれた台に乗って作業をしているウソップがいた。
ウソップは狙撃手兼開発課?である。
よく何か実験しては鼻を燃やしたり、鼻が折れたりしている。あと、話がとってもうまい。(しかし大半が嘘だが)
かくいうこのアヒル二等兵もウソップが作ってくれたおもちゃだ。
……って考察してる場合じゃなかったぜ!
「うわあぁあ!ウソップー!!」
「うおっ!何だよ!でっかい声出すな!びっくりしただろうが!」
「わだ、わだしのアヒル二等兵が殉職しだあぁぁ!」
「あぁ?アヒル二等兵がどうした…って首が折れてるじゃねえか!」
「さっきルフィにぶっ飛ばされた時ポケット入れたまんまやって……。」
「はあ、成る程なあ。残念だがこりゃあ直らねぇな。アヒル二等兵はここまでだ。」
「な、直らないのか!?」
「うわあぁん!アヒルにどーへー!」
「泣くな!チョッパー!奴は最後まで立派に生きたんだ!
ほら、この箱を墓にしよう。二人ともアヒル二等兵に手を合わせてやれ。」
小さな箱にアヒル二等兵の遺体を入れて、最後に画用紙で墓標を作り『アヒル二等兵の墓』と書いて立てておいた。
それから三人で並んで手を合わせた。
「…黙祷。」
「うっうっ……どうか安らかに眠ってください。」
「…よし、くよくよしててもしょうがねえ!俺がまたにアヒルさんを作ってやろう!」
「ほんまか!」
「ああ。というかもう完成している。」
「ウソップすげー!」
「ウソップパネェ!」
興奮して騒ぎ立てる私とチョッパーをウソップは片手を翳してまあまあと促した。
ごそごそとウソップ工場に置いてあった袋の中から取り出した物を私の手の平へ乗せた。
「見よ!これがニューアヒル戦隊アヒルマンだ!」
「おーっ!」
「何かネーミングセンス微妙やけど。おおー!」
「微妙って言うな!」
手渡されたアヒル戦隊アヒルマンは3体いて、それぞれ赤、青、ピンクのスカーフとゴーグルを身につけている。
ピンクのアヒルマンの目にまつげが書いてあるあたりこの子は女の子なのだろう。
「うわあ、ほんまありがとうウソップー!君はただの鼻じゃないと思うてた!やればできる鼻!」
「失礼な!やればできる鼻ってなんだよ!ただの悪口か!」
「すげーなー。ウソップは器用だな!」
「ふふーん。まあそれ程でもあるけどな!」
「よーしチョッパー!これ早速風呂で浮かべて遊ぼうぜ!」
「おー!」
「って、お前らシカトかよコラァ!」
ばたーん!と勢いよくドアを開けて出て行ったが、くるりと踵を返して開けっ放したドアからひょこりと顔を出す。
「ウソップありがとう!さすがキャプテンやな!」
「…おうよ!またなんかあったらいつでも頼りたまえよ!」
どん、と胸を張ってどことなく嬉しそうなウソップにひらひらと手を振って甲板に飛び出した。
さて、ちょっと遊ぶ前にルフィしばきにいくか!
わたしのくらし。(船医さんと狙撃手さんと)
「ゴルァ!ルフィこの野郎!怪我とアヒル二等兵の恨みじゃあー!」
「ぎゃあ!、刃物はやめろ!うわあぁぁ!」
「(ルフィ大丈夫かな……)」
チョッパーさんとウソップさんと絡む回。
この二人と船長は同じ精神レベル。よくつるむ。
お風呂でアヒル浮かべて遊ぶのは定番なのか・・・。
10.7.17