「ぎゃああああ!!!」
島について何とか研究所に乗り込んだ麦わらの一味は、今その研究所の廊下を走り回っていた。
……人間と異形のクリーチャーに追われて。
「な、ななな何だよあれ!人間でも動物でもねえやつ!」
「知るかよ!でもナミさんから聞いた話じゃ、ここでヤバイ研究してたって言ってたろ?
きっとそいつが作ったクソつまんねぇもんだってことだよ!」
サンジが繰り出した蹴りによってクリーチャーが地に伏した。
先程から際限なく何処からか沸いて来てはしつこく一味を追いかけてくる。
そのクリーチャーの様も、人の形だが両腕が無く明らかに肌の色としてはおかしい色をしているもの。
おまけに身体の節々に開いた穴から毒ガスを吐くものだから非常に厄介である。
他にも地べたや床にはいつくばり、背中から鋭い骨が飛び出した蜥蜴のような姿をしたもの、
頭が二つつき手が蟷螂のような鎌を持った人のようなもの。
上げたらキリがないくらい様々な怪物達が出てきて、一味はその怪物と普通の人間の戦闘員に襲われていた。
「畜生、なんだってんだよあの化け物共は!」
「全くあんなのが世に出てこられたらたまんないわよ!」
「……それにあれだけ酷いものが造られてるなら、尚更の安否が心配だわ。」
ロビンの言葉に皆一同に頷く。
「よし、早く助けに行こう!」
「おお!」
道を憚る人やクリーチャーを倒しながら突き進むと、大きな分かれ道に出た。
「これだけ広いと固まって探すより別れた方がいいわね。追っ手も多くて埒が明かないし。」
「そうだな。」
そこで一味はルフィ、ナミ、ウソップ、サンジ―
―ゾロ、チョッパー、ロビン、フランキーの二手に別れて探すことにした。
「お前ら気ぃつけていけよ!」
「おう、クソ野郎共ロビンちゃんをしっかり守れよ!」
「うるせえよアホコック!」
「じゃあまた見っけて合流ってことで!」
「ああ!」
「解散!」
*****
電伝虫の受話器をドクターが静かに置くと、くつくつと楽しそうに笑った。
「流石3億を背負った頭なだけあるな。
私の可愛いクリーチャーでは相手にならないようだ。」
「……当たり前や、ルフィ達がそんなんにやられる訳ないやろ。」
「くく、そんなの、ねえ?お前もその中の一人だということを忘れるなよ。」
ガスッ
床に転がされたまま、腹を蹴られそのまま踏みこまれる。
力の抜けたままでまともに痛みが走ったが、ぐっと睨み返せばドクターはいい目だ、とからから笑った。
「さて、しかしやられっぱなしというのも気分が良くないからなぁ……。」
そう言ってつかつかと電伝虫の前まで歩み寄ると、再び研究員の誰かに繋げたようだ。
「おい、C地区に保管してある被験体56号を解き放て。……ああ、わかっている。今すぐにだ。」
プツン、とそれだけ話すと切ってしまった。
……被験体56号?一体何なんだそれは。
「不思議そうな顔だな。まあ私もお前がいない間努めて研究を続けていたわけだ。」
「……。」
「お前の身体にも入っている変形、強化細胞。それを更に進化させてな。より強固にしたのさ。
それを人に組み込ませたのが被験体56号だ。姿はお前のような人型じゃなくより化け物らしくはなったがな。
だが、強さはお前より遥かに上だぞ。ただ、少々融通が効かないのが難点だがな。」
ニヤニヤとドクターは下卑た笑みを浮かべた。
ようはめちゃくちゃ強い化け物がいるっていうことか・・・・・・。
でも皆がそう簡単にやられるわけがない。
これまでだってどんな困難も乗り越えてきたし、今だってそうだ。
もう昔の、ここにいた時の私とは違うんだ。仲間だってたくさんできた……!
「みんな……。」
迷惑かけてごめん。
でも私、まだ皆と一緒にいたいんだ……!
*****
「なんだ?急に敵の数が減ったな。」
ゾロのチームはこれといった障害も無く快調に進んでいたが、先程より明らかに減った兵力に些か疑問を抱いていた。
「もう全員出払ったんじゃないか?」
「どうかしら、何かの罠かもしれないわね。」
「いずれにしろ、気をつけろよ。奴さんは何仕掛けてくるかわかんねぇからな。」
無機質な廊下にある無数の部屋の扉を手当たり次第開けていく。
どの部屋も似たり寄ったりで、どこにがいるのかさっぱり分からない。
「くそ、こんだけ広いと探すのも骨が折れるな。」
「チョッパー、匂いで分からない?」
「駄目だ、薬品や他の生物の匂いが邪魔して分からないよ。」
「しらみ潰しに探すしかねぇな……。」
「ー!どこだ!いたら返事してくれー!」
チョッパーが叫びながら扉を開けていく。
他の者もただひたすら部屋を開けて確認していった。
走ってそれを繰り返す内に十字路にたどり着いた。
「また分かれ道かよ!」
「どうする?」
「……!待て!皆伏せろ!」
ゾロが叫び、皆が伏せた瞬間。
ドゴォ―!!
重い鈍器のようなものが頭を掠めた。
凄まじい音を響かせて壁に何かが当たって崩れ落ちる。
慌てて体勢を立て直して出所を確認すると、一体のクリーチャーが立っていた。
しかし先程までとは違ってより人型に近く、他の者より明らかに雰囲気が違っていた。
―こいつ、強い……!
その場にいた誰もがそう感じ取っていた。
ボゴッ、鈍い音を立てて鉄球のついた鎖鎌を壁から抜き取る。
こちらの様子を伺うその顔はあちこちの皮膚が繋ぎ合わされ、体からはチューブらしきものが無数に埋め込まれている。
「こいつもこの世のものとは思えねぇなオイ。やっかいなのに捕まっちまったぜ!」
「さっきのより強そうだぞ!どうすんだ?」
「とりあえずやるしかねえだろ!全員でかかりゃなんてこたねぇよ。」
そう言って構えたフランキーをゾロが片手で制した。
「待て!ここは俺がやる。お前らはの捜索にまわれ。」
「……確かに早く探す方が先決だわ。」
「ならおれも残るよ!一人より二人の方が早く済む!」
「構わねぇが足引っ張んなよ。」
「大丈夫だ!」
「ならここは任せたぞ!」
「二人共気をつけて!」
「「まかせろ!」」
ダッ、とフランキーとロビンが走って右側の廊下を曲がる。
クリーチャーがそれを追おうとしたが、ゾロとチョッパーがその行く先を阻んだ。
「おいおい何処行くんだ怪物野郎。」
「ここは通さねえぞ!」
「……グォオォォ!!」
*****
一方麦わらチームは
「大分敵の数が減ってきたな…!」
「は一体何処にいるのかしら。部屋が多すぎて分からないわよ!」
「大丈夫だ!おれに考えがある!」
ルフィは高らかに宣言すると、一つの部屋に入っていった。
他の者も慌ててその後を追う。
「おいルフィ!何する気だよ!」
「この部屋にはいねぇぞ!」
「ああ、分かってる。見てろって!」
腕をぐるぐると回し始める。
まさか、と皆が悟った時にはもうその拳が放たれていた。
「ゴムゴムの銃!!!」
勢いよく繰り出された拳は壁を何枚も突き破り、がらがらと周りの壁が崩れていった。
「よし!これで扉をいちいち開けて部屋を見なくて済むぞ!」
「はーん、なるほどよく考えたなって……」
「「「無茶すんなや!!!」」」
「痛ぇ!」
全員から激しいツッコミを頭にくらいルフィはしゃがみ込んだ。
「何すんだよ〜!」
「あんな荒々しい捜索方法があるか!」
「もしその先にがいたらどうすんのよ!危ないじゃないのバカ!」
「大丈夫だって、あいつ頑丈だからよー。」
「そういう問題じゃねぇよ!」
ガン!
頭にもう一発サンジの蹴りを受けてルフィは沈み込んだ。
崩れ落ちた壁を見ると、ゆうに2部屋分は壊されている。
その中を調べようと覗きこんだ瞬間、この場に似つかわしくない幼く高い声が聞こえた。
「ルフィ!ナミ!ウソップ!サンジ!」
全員の名を呼ぶその声はまさに探していた人物。
慌てて全員が壁の穴から覗くと、2部屋先に同じくルフィが開けた穴からが顔を出していた。
「!よかった!無事だったかー!」
「……無事は無事やけど、てめ、ルフィ!あんた私を殺す気かー!!」
皆の顔を見て安堵するやいなや鬼の形相でルフィを怒鳴りつけた。
「……やっぱり当たりそうだったみたいね。あの拳。」
「だな。」
はあ、とため息をついた一同(ルフィ除く)だったが、が元気そうであったので少し安心したのだった。
その手は彼の許に。
麦わらの一味がやっと突撃。
クリーチャーはバイオとか静岡に出てくるアレ達のイメージ。
10.12.12