私が此処へやって来て数日が経った。
お登勢さんに連れられてきた所は「スナックお登勢」というお店だった。
このお店に私は住まわせてもらうと同時に働かせてもらっていた。
掃除をしたり、買い出しに行ったり、お客さんの相手をしたり(会話したりお酒出したり料理運んだりとかである)、とかくいろんなことをしている。

従業員であるキャサリンさんとたまさんに教えてもらいながら毎日勤めている。
キャサリンさんは猫耳が生えた天人で昔はちょっとばかし悪いことをしていたらしい。
たまさんはなんと人間ではなくからくり、機械なんだそうな。
空飛ぶ船といいこの世界は文明の発達がすごい。

そしてこのお店は要は酒場みたいなものでお酒や食事を提供したり、お登勢さん達がお客さんの話相手になったりする。
私も慣れないながらにみんなのサポートをする。
お客さんも最近入ったちっこい新人に俺達からもアドバイスしてやるとよくしてくれる。
(たまに余計な事吹き込むなとお登勢さんに怒られてたりするが)

そんなこんなで悪戦苦闘しながらもキャサリンさんにお菓子を貰ったり、たまさんをたま姉と呼んだり、お客さんに顔を覚えてもらった頃。
私はほんの少しずつだけれど自分のいるこの世界に溶け込もうと目まぐるしい毎日を送っていたのであった。











*****










今日も今日とてお店のお手伝いをしている。
まだお昼だからお客さんは来ないけれど、その分別にやることがそれなりにあるからちょこちょこと忙しい。
お店の掃除をしながら今日はどれくらいの忙しさになるか考えていると、ガラリとお店の引き戸が開かれた。


「いらっしゃいませー。」


にこりと営業スマイルをしつつ入ってきたお客さんを出迎える。
やって来たのは銀色のパーマのお兄さんにお団子頭の女の子に眼鏡の普通っぽいお兄さん。
何故かお兄さん達は私をガン見したまま固まっている。
どうしたものかとお登勢さんの方を見やった。


「ほら、こいつらだよ。ウチの二階を貸してやってる。」

「あぁ、万事屋さんですね。」

様から見て左から新八様、銀時様、神楽様です。」


たま姉が親切にも名前を教えてくれたので、私も自分の名前を名乗ってぺこりと頭を下げた。


「あ、こちらこそよろしく……ってそうじゃなくて!君は一体誰なの!?」

「バーさんの隠し子アルか?」

「バカ、お前気持ち悪ィ事言うなよ。今から飯食う所だぞ。嫌な想像させんなよ。」

「聞こえてんだよこの腐れ天パ!」


ぽんぽんとテンポよく交わされる会話におお、と密かに感心していると神楽さんが私の目の前にやってきた。


「で、どうアルか?やっぱり隠し子アルか?」

「ちゃいますよ。私はお登勢さんに拾われて住み込みで働いとるんです。」

「拾われたァ!?」


皆それぞれリアクションをとって面白い。
お登勢さんがふうっと煙草の煙を吐き出して、私との経緯を話してくれた。
これは万事屋さんに限った事ではないけれど、違う世界から来たという事はお登勢さんだけの秘密にしている。
話した所でややこしいだけだし、ただでさえこんな体なのだからあまり面倒なことはなるべく避けたかった。
だから簡潔に何処かの星に拐われて変態マッドサイエンティストにモルモットにされていた所を逃げ出して此処へ流れ着いた、という説明をしてくれた。
さすがお登勢さん簡潔かつ素晴らしい説明である。


「―で、あんなびっくりどっきりな事ができてるってか。」


銀時さんが私を指さして言うびっくりどっきりな事とは今やっている指をナイフに変えてりんごの皮剥きをやってのけていることである。
その様子を見て神楽さんは感心をよせ、新八さんは目も口もかっ開いていてその反応が少しおかしくて笑ってしまった。


「まあ、びっくりされるんであんま人前でやらんようにはしとるんですけどね。はい、どうぞ。」

「おおっ!すごいアル!うさぎりんごネ!」


うさぎ型に剥いたりんごを神楽さんの前に出せばきらきらした目で見られた。
すぐさまりんごに手を出してもっさもっさと咀嚼しながら「お前やるアルな」とお褒めの言葉を貰った。


もまたなんか困ったことあったらいつでも私達に言うネ。力になってやるアル。」

「はい。ありがとうございます。」


ぐっと拳を掲げた神楽さんに笑顔で頷いた。よかった、とてもいい人そうだ。
その後お三方から万事屋とはどんな仕事をしているのかだとか最近あった出来事を聞いたりしてとても楽しかった。
こうしてまた知り合いの輪が増えていって、何だか不思議な気持ちになって少しだけむずむずした。










万事屋さんにはじめまして









14.2.22