いつものように学食でお昼を取っていたら
ちよちゃんが放送で呼び出されて職員室へ行ってしまった。
彼女は非常にご飯を食べるのが早いので、
さっさと済ませてさっさと呼び出された先生の元へと向かってしまった。
一体あの子は何をしでかしたのだろうか。
私は特に急ぐ理由もないので、ゆっくりとお弁当を食べていた。
楽しみに残しておいたラス1のタコさんウィンナーをぷすりと
フォークに突き刺して、食べようとしたら目の前にあったはずのタコさんが消えていた。
……何故に消えたし。
咄嗟に後ろをぎぎぎ、と振り返ったら切原君が私のタコさんをつまんでぽいと口にほうり込んでいた。
「あーっ!私のラス1のタコさんウィンナー!!」
「んー、うまいっスよ先輩。形はいびつだったけど。」
「てめ、切原…!私が楽しみに取っておいたタコさんをよくも!
しかも形がいびつ言うな!カニさんのほうが私は得意なんだよ!」
「知らないっスよそんなこと。じゃあカニ作ればいいじゃないっスか。」
「形的にはタコさんが一番好きなんだ!天誅!」
「いだっ!暴力反対!」
ふわもじゃ頭にチョップをくらわしてやったら、地味に痛い所に入ったのか頭を抱えて唸っている。
(はん、ざまあみろ!)(食べ物の恨みは怖いんだぜ!)
「よくもやりやがったな先輩!」
「こらこら、赤也!今回悪いのはお前の方だろ。」
反撃をしようとした切原君を諌めたのは、肌が浅黒くてつるりとした頭の人だった。
あれ、この人どっかで……。
「…そうだ、この前丸井君と一緒にいた人だ。」
「ん?…ああ、確かお前は日の丸弁当食ってた……。」
「ちょっといつまでそのネタ引きずってんですかやめて!」
「ぷっ、日の丸とか先輩ウケる!」
「うっさいお黙りバカ也君。」
誰がバカ也っすか!と怒る切原君をスルーし、
もう一人の方を見ればこちらの視線に気づいて、何か合点がいったように頷いた。
「俺はジャッカル桑原だ。ちなみに組はI。」
「あ、ご丁寧にどうも。B組のです。よろしく。」
「おう、よろしくな。」
なんか妙に初々しい自己紹介をして若干そわそわする。
そんな感じが伝わったのか切原君に「先輩達何かきもいっす」
と言われたので、桑原君と一緒にその生意気な頭を叩いておいた。
「ところで君達お昼は食べたの?」
「もうとっくに食いましたよ。
今は丸井先輩の付き合いでここに来たんです。」
「あいつ弁当だけじゃ基本足らねぇからな…。」
「よく食いますからねー丸井先輩。」
呆れたように言う桑原君達にとりあえず座りなよ、と席を勧めれば隣に切原君前に桑原君が座った。
適当に話をしつつお弁当を食べてると丸井君が大量の菓子パンやらアイスやらを抱えてやって来た。
「おまたせー。って何だじゃん。いたのか。」
「いましたよ。つか何なのその量ありえない。」
「は?別に普通だよな?」
「お前の普通は一般人には通用しないからな。それに関しては。」
「そうか?こんくらい余裕だけど。」
桑原君の隣に座って、どさどさとそれらをテーブルに置いた。
その中から二人はアイスを取ると袋を開けて食べ出した。
(アイスは切原君と桑原君のだったのか)
丸井君もジャムパンをもさもさ食べながら、あれ?と少し外れた声を出した。
「お前、今日佐久田はいないのかよぃ?」
「ちよちゃんならさっき呼び出しくらって行っちゃったよ。」
「あいつ何やらかしたんだ。」
「さあねー。大方この前授業遅れていった時のことじゃない?」
最後の卵焼きを口に入れて、もぐもぐ咀嚼していると丸井君がじっとお弁当を覗いている。
「何ですか丸井君。もうお弁当は空ですよ。」
「ちげーよ。って自分で弁当作ってんだなって。」
「ああ…、この前の日の丸事件でお母さんに文句言ったら、
文句言うなら自分で作れや。って言われてさ。それ以来自分で作ってんの。」
「…なるほど。なかなか強烈な母親だな。」
「つか先輩料理できるんスね。鈍臭そうなのに意外。」
「君はいちいち失礼だな!
家は料理が当番制で回ってくるから自然とできるようになったんだよ。」
「へぇ、すごいな。」
桑原君に純粋に関心されて照れていたら桑原君以外の二人にキモいと言われた。
(最近こいつらの態度が酷くないか)(桑原君を見習いたまえ)
適当にだらだらと話ながら過ごしていると昼休みが終わってしまった。
結局ちよちゃんは戻ってこなかった。
それにしても丸井君はあの大量の菓子パンを
ものの数分で平らげてしまっていて、私は若干引いてしまったのであった。
暴食ランチタイム。
11.2.4