関東大会を見に行ってから幾日か経った。


あの後、切原君を筆頭に丸井君や仁王君から試合に対する感想を聞くメールが届いた。
切原君に至っては電話がかかってきたのでびっくりした。

3人とも聞いてくることは似たり寄ったりであったが、
そして一様に締めくくりは「全国では絶対に優勝する」という頼もしいお言葉だった。
やはりうちの学校のテニス部は色々な意味で強いらしい。
(ちょっと安心した)


それからいよいよ部長の幸村君が部活に復帰するらしい。

幸村君とは今まであまり関わったことがないが、
真田君や柳君とよく話す機会があったのでその時話には聞いていた。
たまに幸村君がその場にいることもあってちょっと話をしたこともある。
ただ二人に比べたら少ないが。

そんな幸村君の印象は綺麗とか美人とかそんな言葉がよく似合う人。
実際皆からもそういった話をよく聞くし。
しかし真田君や柳君に聞けば口を揃えて「深く付き合えば分かる。」とやや遠い目をして答えていた。
(一体どういう意味だろう)













*****











それから期末テストも無事赤点を取らずに終えることができた。

でも数学が赤点ぎりぎりのラインだったので先生にもっと勉強しろと釘を刺されてしまった。
(だって数学とか意味わからん)(私はどちらかと言えば文系寄りだ)



そして暑い暑い体育館での終業式も何とかやり過ごし、クーラーのきいた教室へ戻ってきた。



「このくそ暑い中あんな長話するなんて信じられない。校長の話なんざどうでもいいっての。」

「同感。あの時はきっと皆の心が一つになっただろうね。
 早く終われって。そしてちよちゃん顔が鬼のような形相になってるよ。」

「暑いんだからしょうがないでしょう。」



恐ろしい顔のまま私の両頬をぶにゅりと摘んだ。
痛い、と抗議すれば一度思いっ切り伸ばしてから離された。酷い。



「痛いじゃないのさ。」

「むしゃくしゃしてやった。反省はしてない。」

「反省しろ。」



各教科で出された大量の宿題について如何に楽に仕上げるか討論していたら
担任の山セン(山本先生だから山セン)(単純である)が教室に入ってきたので中断する。

夏休みはっちゃけすぎるなよー。大人になってから恥ずかしくて悶えるのは自分なんだからなー。
と何だかよくわからない夏休みの注意事項を述べて山センは「んじゃ解散。」と
なんともやる気のない締め方をして終業式はお開きとなった。相変わらずこのクラスはゆるい。



「あー、終わった終わった。」

「ちよちゃん夏休みプール行こうよ。」

「いきなりなんで。」

「あまりに暑いし、中学最後の夏休みの思い出に何か爪痕を残したくて。」

「別にいいけど爪痕残しちゃ駄目だろう。」

「雰囲気だよ。ほら皆誘ってさー。
 あ、夏祭りも行きたいね。花火もしたい。」

「はいはい。全部やろうねー。」



適当に相槌をうちながら、ちよちゃんはぽんぽんと私の頭を撫でる。
教室を出ると辺りには明日からの夏休みに期待を膨らませる生徒の海。
私もその中の一人ではあるが、これが中学最後だと思うと少し寂しい。

なんにせよ夏休みが楽しみである。










夏休み来る。










11.3.6