今日は全国大会準決勝、立海と名古屋聖徳の試合があるというので見に来た。
全国大会の試合を見るのは初めてだったので、なかなか立派な所でやるのだと少しわくわくしていた。
……のだが。
相手の学校はなんと全員外国人で固めてきて何それ何てチート?
とぽかんとしていたら立海が次々と負けてしまった。
ヤバいじゃん追い込まれたようわああ、と密かにテンパっていた。
次のシングルスで出てきた切原君を全身全霊応援してたら、相手の外国人が強いのなんの。
ついには切原君を血祭りにしてフェンスに磔にしてしまった。
この時点でテニスってなんぞやと真剣に悩み始めた。
だって血祭りとか磔とかありえない。もはや格闘技じゃないかテニス恐い。
ところがそんな状態になってもテニス部のレギュラー勢は
余裕な表情を浮かべていて、幸村君に至っては優雅に微笑んでいた。
その意味深な微笑みに夏場にも関わらずぞわりと寒気がしたのだが気のせいだと思いたい。
そしてコートに目を向けると信じられないことが起こっていた。
切原君の髪の毛が真っ白になり、肌が赤く染まっていたのだ。
呆然とその様子を眺めていたら、近くにいた立海の生徒が「切原ついに悪魔化したか」と言っているのが聞こえた。
……悪魔化、だと…!?
*****
「あ、せんぱーい!見に来てくれてたんスね!」
「………。」
笑顔でぶんぶんこちらに手を振って切原君がやってきた。
無言無表情で右手を構えると、その頭にチョップした。
「悪霊退散!」
「いってぇ!何すんだよ!」
「切原君の中の悪魔を退治しようかと。」
「意味わかんねぇ!!」
あちこちに包帯やら絆創膏を貼った切原君は私にきいきい抗議してきた。仕方ないじゃないか。
スルースキル全開でそれを流していたら「お、じゃん。」と丸井君と仁王君がやってきた。
「よ、見に来てたんだな。」
「いよう、決勝進出おめでとさん。」
「おー。で、赤也は何を喚いとるんじゃ。」
「酷いんスよ先輩いきなりチョップしてきて!」
「だって君の試合色々とそれはもうめちゃくちゃビビったんだもの。
だからつい、いらっとしてさ。しゃーないしゃーない。」
「ああ。まあアレは仕方ないっちゃ仕方ないよな。」
「そうじゃな。」
「だよねー。ほら切原君イーブンだって。」
「なんか理不尽感が抜け出せないんスけど。」
「気にしちゃ負けだよ。次は大丈夫だからさ。5分見たら慣れたから。」
「5分で慣れたんかい。」
「つかさ、今回のはなかなか荒々しい試合だったね。
一瞬私テニスについて本気出して考えてみちゃったよ。」
「まあたまたまじゃろ。
今回みたいな面白いんはなかなかないきに。得したのう。」
「ちょ、面白いって何なんスか!主に俺のこと言ってんでしょそれ!」
「でも血祭られたり磔られたりした選手ってなかなかいないと思うよ。」
切原君を存分にからかっていたら、桑原君が三人を呼びにきた。
これからまたミーティングがあるらしい。
「じゃあまた。次も応援行くよ。」
「おう。また忘れて寝たりすんなよ。」
「しないって。」
「どうだかのう。」
「失敬な。」
じゃあね、と軽く会話を交わしてから会場を後にした。
今度は小春ちゃん達四天宝寺の応援に行かなくてはならない。
四天宝寺が勝てば立海に当たるんだよね。両方がんばってほしいけど。
……ううん、困った。
テニスについて本気出して考えてみた。
11.3.20