新しくできたというケーキ屋さんに行こう、と
ちよちゃんをお誘いしたのだが用事があるから無理と断られてしまった。

仕方ないので一人で赴いた訳だが成る程なかなか盛況のようである。
チラシとかで宣伝してたし、元々人気のお店のチェーン店ということも手伝っているのだろう。

中に入って早速並びながらケーキを吟味する。
ううむ、どれもおいしそうだなぁ……。
とりあえず店内にあるカフェスペースで食べて、おいしかったら幾つかお持ち帰りしよう。

自分の番が回ってきて紅茶と何個かケーキを注文し切り上げようと思ったのだが、
ふと目に留まった苺のタルトがあまりにもおいしそうでこれも頂くことにした。
しかもラス1だし。

ショーウインドーを指差し苺のタルトを頼もうとしたら、後ろから「あ。」と声が上がった。

思わず反応してくるりと振り返ると、
私の後ろに並んでいるふわふわした金髪の男の子がいた。
その子は苺のタルトを見ている。
加えてものすごくがっかりした様子なので
きっと金髪君も苺のタルトがほしかったのだろう。
私が見ていることにようやっと気づいたのか、金髪君は慌てたように頭を振った。


「あ、いや何でもないよ、ごめんごめん!」

「いえ、何かあの私もごめんなさい。あの、これどうぞ。」


あまりにも金髪君がしょんぼりした顔をしているもんだから、私は苺のタルトを彼に譲ろうとした。
すると金髪君は目を丸くさせてぶんぶんと両手を振った。


「いいよいいよ!君が先に取ってたんだから!」

「いや、何かあまりにもしょんぼりしてらっしゃるので……。」

「え!俺そんな顔に出てた!?恥ずかCー!」

「うん、だからどうぞ。」

「ほんといいって、そっちこそどうぞ。」

「いえいえ遠慮なさらずにどうぞ。」

「遠慮してないよ。ほら。」

「お前ら何やってんだよぃ。」


私が差し出せば金髪君が返し、どうぞどうぞのなすくり合いをしていたら、第三者の加入によってストップされた。
顔を上げて見れば赤い髪のよく知った彼が怪訝な表情でこちらを見ていた。


「あれ、丸井君じゃないですか。」

「よう。何、もここに来てたのか。」

「まあねー。」

「あれー?丸井君この子と知り合い?」

「そういう金髪君こそ。」

「ああ、俺の友達。、こいつ芥川次郎。で、こっちは。」

「あ、そうなんだ。よろしく芥川君。」

「うん。よろしくさん。」

「んで、何してたんだよ二人でペコペコして。」

「いや実はね……」



かくかくしかじかと事情を説明すれば呆れたような顔をされた。


「じゃあも一緒に食えばいいじゃん。遊びに来てたんだよぃ。」

「そうなのか。じゃあ尚更悪いよ。二人で遊びに来てたのに私がいたら邪魔だよ。」

「俺は別に気にしないよー?」

「ほら、ジロ君もそう言ってることだし早く買っちまおうぜぃ。後ろ支えてんだから。」

「うわ、ほんとだ。すみませんお時間かけまして。」


後ろに並んでた人に謝ってからさっさとケーキを買って、カフェスペースに移動した。




*****





「このモンブランめちゃくちゃおいしいよ!」

「マジで?一口くれよぃ。……うわ、ほんとだ。うま!」

「どれもおいCー!ねぇ、そっちのもちょうだい!」


しばらく、うまいだの、これはもっとこうしたらいいだの、ケーキをひたすら食べまくった。
それはもう沢山。
ある程度平らげて温かい紅茶でまったりしながら談笑した。



「へぇ、じゃあ芥川君もテニス部なのか。」

「うん。氷帝のね。さんは丸井君のテニス見たことないの?」

「まあ一応学校でちらっと見たり。
ああでも大会の時のはすごかったなぁ。人間離れしてて。」

「それどういう意味だよぃ。」

「でしょでしょ!丸井君ってばめちゃくちゃすごいんだって!
俺も丸井君みたいにあんなかっこE技できるようになりたいよ!」

「おやおや。丸井君大絶賛じゃないすか。」

「まーな。俺って天才的だし?」

「うぜえ。」



ぐびぐび紅茶を飲みながら丸井君に呆れた視線を投げ掛けたらチョップされた。ちょ、暴力反対。

芥川君はどうやら丸井君が大好きらしい。まあどっちかと言うと憧れか。
丸井君について語る時はとっても目がきらきらしてます。
あまりにも褒めまくるもんだから丸井君がさすがに照れていた。


「ジロ君だってうまいじゃんかよ。」

「へえ。そうなの?」

「そ、ジロ君もボレーがうまくてさ、
すんげー手首がやわらかくてさ。人には真似できない代物だな。」

「いやー、照れるよー。」

「ほうほう。」


照れる芥川君にちょっと失礼しますよ、と断って手首を掴む。
そのままうりうり握ってみたが普通に固かった。


「あれ。全然固いよ。」

「いやそういうやわらかさじゃねーから。」

「ぶはっ。さんっておもしろいねー。」


どうやら身体が柔らかいとかそっちの意味らしい。
てっきり手首ふにゃふにゃの軟体なのかと思ったよ。


そのあとも楽しくお話して、これからおいしいケーキ屋さんや
お菓子を発見したらお互い連絡しようと約束した。
我が家にもお土産にケーキを買って、大満足な一日だった。











甘いもの大好きクラブ。











「それにしても丸井君はよく食べるよね。」

「まあ成長期だしな。」

「でもあんまり過ぎるとブタになっちゃうよ。丸井ブン太なだけに。」

「しばくぞお前。」






11.7.18