最近なんかおかしい。
何がおかしいかというと、まずふとした瞬間に誰かの視線を感じる。
じっと見られてるような感覚がたまにあるのだ。
でもそれは学校にいる間だけのことなので、立海の誰かさんが私を注目しているということになる。
…自分で言っておいてものすごいありえないと思う。
まあこれは私の気のせいという可能性も高いのでさして気にはしない。
で、もう一つはよく変な事を聞かれたりするということだ。
しかも聞いてくる人物が柳君や幸村君だからよくわからんのである。
この前は柳君にはやたらと質問ばかりされた。
例の如くあの何書いてるのか謎のノートを片手にやれ好物は何だとか
趣味は何だとかそれは何にいるんだというような色々な質問に答えさせられた。
柳君はよくデータ収集をしているとに聞いていたので、
その一貫だと思うのだが私のパーソナルデータなんぞ集めて楽しいだろうか。
まあ別に構わないんだけれども。
で、幸村君は柳君みたいに質問攻めはしないけど何故かよく話しかけてきてくれた。
しかも彼の口から恋バナが出てきた時は思わずその端正な顔を二度見してしまった。
彼氏はいるのとか好きなタイプはとか幸村君もそういう話するんだとか無駄に驚いた。
まあよく考えれば幸村君も私と同い年だし、
神の子だなんだと騒がれても同じ中3の男の子である。
やっぱり誰かの話だけで人を判断しちゃいけないと思いました。
あれ何これ作文?と、まあ不思議な交流が立て続けにあったが、
別に問題があるわけでもないし結論として気にしないことにした。
*****
前の授業の数学で頭を使いすぎたせいか、
猛烈に糖分を摂取したくなったので休み時間に何か甘い飲み物でも買おうと自販機に向かった。
ココアにするかミルクティーにするか考えながら歩いていると、自販機の前に切原君がいた。
向こうもこちらに気づいたのか、
あ!先輩!と手を振りながらこちらにやってきたので軽く腹パンしてやった。
「ぶっ、いって!何すんですか!」
「かわいい後輩とコミュニケーション取ろうと思って。」
「そんな暴力的なコミュニケーションいらないっス。」
「ごめんごめん。軽くしたつもりだけど。痛かった?」
「いや、全然。びっくりしただけですよ。」
「そっかー。前仁王君にやった時はうずくまってたからな。」
「アンタ何やってんスか。」
じとりと呆れたような視線を受けて、ふははと乾いた笑いでスルーしておいた。
自販機の前に立って迷ったあげくミルクティーにしておいた。
寒い廊下で冷えた手をミルクティーの缶で暖める。あー、あったかい。
「シンデレラ部長は最近どうなの。」
「混ぜて言うの止めてくださいよ。
つか文化祭のアレは忘れてほしいっス。」
「えー、めっちゃおもしろかったのに。」
「俺はおもしろくないです!」
「はいはい。で、どうなの。部活がんばってる?」
「……まあ、ぼちぼちっスよ。」
三年の皆は秋になってテニス部を引退した。
そして次に部長になったのが切原君で嬉しそうに私に報告してきたのは記憶に新しい。
後輩に生意気なのがいて指導が大変だとか
たまに幸村君や真田君達が顔を覗かせて説教されたりで嫌だとか愚痴りながらもどこか楽しげに話をしてくれた。
「そっか。順調そうでよかったよ。」
「大変ですけどね。ま、上手くやってますよ。」
「よしよし、がんばってるね。えらいえらい。」
「ちょ!頭撫でないで下さい!ぐしゃぐしゃになる!」
ぐりぐりと頭を撫でまわしてやれば、ばっと手を外されてしまった。
元々頭もじゃもじゃのくしゃくしゃじゃないか、
と言おうかと思ったけど充血モードになられたら怖いので寸前で言葉を飲み込んだ。
その後軽く雑談してるとあっという間にチャイムが鳴った。
「じゃあ部活がんばってね。」
「はい。先輩もがんばって下さい!」
じゃ!と笑顔で手を振る切原君を見送ってから、
私は何をがんばるんだと教室に戻りながら考えたがわからなかった。
近頃の話。
12.7.29